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HMC5883L vs QMC5883L vs MPU-92/65 [パソコン]

地磁気の記録を取ろうと思いセンサーを探しましたが、以前使用したことのあるHMC5883Lが入手できなくなっていました。 そこでQMC5883Lというセンサーを使ってみることにしました。

ところがこのセンサー、型番が似ていてもHMCとQMCでは全く別物でした。 ピン配置は同じなのですが、ソフト的には別物です。 HMC5883LはHoneywell製で信頼できるんですが、QMC5883LはOSOYOO製とか。 ちょっと調べてみると本社はカナダにある様ですが、どうやら本体は中国の様ですね。

その後ebayでHMC5883Lを売っているのを見つけて購入しました。 中国発なので受け取ってみるまでは本当にHMCが乗っているかどうか判りませんでしたが、届いてみると確かにHMCでした。 Honeywell製が国内で手に入らず、中国からなら手に入るってどう言うこと?

まあそんな訳でこの2つと、加速度計のMPU-92/65に一緒に乗っている地磁気センサーを比べてみることにしました。


  QMC5883L HMC5883L MPU-92/65
製造元 OSOYOO Honeywell

Himalayan Solution?

(AK8963)旭化成

出力データレート 10/50/100/200Hz
0.75/1.5/3/7.5/
15/30/75Hz
8/100Hz
平滑化 オーバーサンプリング512/256/128/64 1/2/4/8  
最小計測レンジ 2 Gauss 0.88 Gauss 4.9 Gauss
ADC bit数 16 12 16
感度 LSB/Gauss 12000 1370 667


一見QMC5883Lの感度が良さそうなんですけどね、実際の分解能がどのくらいあるのか。


DSCN0768.jpeg

これがQMC5883Lの実物。 基板上のシルク印刷にはHMC5883Lと書いてあるじゃないですか、紛らわしい。


DSCN0759.jpeg

こちらがHMC5883L。 チップの刻印が違います。


DSCN0755.jpeg

これは加速度計の基板ですが、チップの刻印は読めません。 このチップの中に旭化成のAK8963という地磁気計が同居している様です。 ちなみにシルク印刷のX,Y,Zは加速度計のもので地磁気計のものはXとYが入れ替わりZ軸の符号が逆になっています。 ややこしい。


  QMC5883L HMC5883L MPU-92/65

測定方法1

(高速にサンプリング)

64オーバーサンプル

200Hz出力

連続測定モード

 

平滑化なし

 

単発測定モード

 

平滑化なし

 

単発測定モード

 

測定方法2

(なるべく平滑化)

512オーバーサンプル

10Hz出力

連続測定モード

8回平均

0.75Hz

連続測定モード

平滑化なし

8Hz

連続測定モード1

それぞれのチップの仕様が異なるので同じ条件ではチェックできませんが、なるべく生のデータになる様に(測定方法1)と、なるべくノイズを抑えた様に(測定方法2)の2通りで調べてみました。
西向き高速.jpeg
測定方法1:X軸が西向きになる様に設置した場合の各センサーのX軸のデータをプロットしました。 盛大なオフセットが有るので値が0付近になる様に調整してあります。 西向きなのでX軸の値は理想的には0になりますが、実際のところオフセットをゼロにするのは大変だし、地磁気は正確に北を指していないし、かなりアバウトな測定になっています。
北向き高速.jpeg
測定方法1:X軸が北向きになる様に設置した場合。 グラフのX軸は時間軸で、途中で磁石のN極とS極を近づけたり離したりしています。 グラフのY軸は磁力の強さでマイクロテスラです。最初のグラフよりノイズが少なく見えるのはスケールが違うせいです。
MPU-9250とあるのはMPU-92/65の事です。 これを見るとMPU-92/65はちょっとノイズが多すぎますね。
西向き平滑.jpeg
測定方法2:X軸が西向きになる様に設置した場合。 センサー内部の平滑化を使用するとだいぶノイズが軽減されます。
北向き平滑.jpeg
測定方法2:X軸が北向きになる様に設置した場合。 データのサンプリングを1秒毎くらいにしているのでHMC5883lは階段状の出力になってしまいました。
北向き低速.jpeg
そこでサンプリングの間隔を6秒くらいにしたところ階段状ではなくなりました。 これでみるとQMCでも良さそうなんですが、グラフには表れていませんがQMCはたまに突発的な大きなノイズが入ってきます、原因はわかりません。
そんな訳で地磁気の観測には入手も出来た事だしHMC5883Lを使うことにしました。 実際に使うときのモードは色々検討した結果、1分に1回連続測定モードにし、75Hzで8回平均モードでサンプリングを20回行って平均します。 それを10分間分を更に平均して1日144回の観測をする事にしました。
しかしこれでも0.2μテスラくらいの幅のノイズが出るんですよね。 実際に地磁気変動の記録をしているサイトをみるともう一桁小さい値の変動を見ている様なので、全く使い物にならない感じです。 近くを車が通ったりするだけでも変化するという話なのでもっと磁気的に静かな場所でないと難しそうです。 更に、繋がっていないLED(足が磁性体)をセンサーの近くで移動しただけでも値に変化が出ます。 こうなると小さなケースに収めた測定器ではノイズ的に無理が有りそうです。
まあそれでもとんでもない磁気嵐でも来れば何か変化が掴めるかもしれないので、観測してみる事にします。
参考:ebayでちゃんとHMC5883Lを売っていた出品者はalice1101983(TxHang Electronic)でした。

コメント(5) 

コメント 5

風神

すみません、チンプンカンプンです^^;
私も以前、ソニーのカメラを落として液晶モニターが破損した時、国内で見つからず中国の深圳で見つけた事がありました。騙されてもいい覚悟で買いましたが、ちゃんと送られて来て直りました。
by 風神 (2023-03-12 17:58) 

Mitch

今度は地磁気センサーですか。
相変わらず頑張っておられますね^^
申し訳ありませんが、ここまで専門的になるとついていけません^^;
by Mitch (2023-03-13 18:01) 

まっちゃん

▶風神 さん
中国製、2つ以上買う事にしています。
届かなかったりした時の対応は今まで全く問題ありませんでしたが、何個かに1個は壊れていたりすることが多いので。
金銭的な問題より輸送に時間がかかるので2度手間は避けたいですね。

▶Mitch さん
地磁気センサーと言っても安価なコンパス用のセンサーです。
本格的なものは2、3桁値段が違う様ですから。
それよりも、地磁気なんか測定できる環境ではなさそうです。

by まっちゃん (2023-03-14 14:53) 

美美

私にはかなり難しいものですが
地震とかが起きるときは変化があるんでしょうか?
関係しないのかなあ
以前、パソコンの内臓バッテリーを中国から取り寄せたことがあります
無事使えましたが長くはもたなかったように思います(^^;
by 美美 (2023-03-21 16:17) 

まっちゃん

▶美美 さん
地震と地磁気は関連がある様で、実際観測している人がいるみたいです。
大地震の前にはいくらか観測できるかもしれないですね。
今は東北沖がまた危険らしい。

by まっちゃん (2023-03-22 08:48) 

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